APPW2025合同大会のご挨拶
渡辺 雅彦
北海道大学
成瀬 恵治
岡山大学
赤羽 悟美
東邦大学
日本解剖学会、日本生理学会、日本薬理学会は、我が国を代表する基礎医学系の古参学術団体であり、それぞれ長い活動の歴史を有します。これまで、解剖と生理(2011, 2015,2021年)、生理と薬理(2003年)の合同大会はありましたが、3学会が合同して開催する大会は今回が初めてとなります。その発端は、当時の生理学会の石川義弘理事長(横浜市立大学)が、アメリカのFASEBのような多数の基礎医学系学会の合同大会を日本でも開催できないかと発案し、コロナ禍が全国に拡大した2020年に解剖学会の八木沼洋行理事長(福島県立医科大学)と薬理学会の谷内一彦理事長(東北大学)に呼びかけたことに始まります。翌年、次期理事長に就任もしくは就任予定であった渡辺、成瀬、赤羽も参加するオンライン会議で、2025年の合同大会開催を決定しました。その際に申し合わせたことの1つに、「合同大会にはそれぞれの学会の執行部が関与する」こととしました。そのねらいは、この合同大会を一発の打ち上げ花火として終わるのではなく、その後も継続的かつ発展的に、基礎医学領域における研究教育力を向上発展させ、それを支える若手人材育成の活気ある場にしていくことでした。この趣旨に共鳴してくださる基礎系学会も増えています。
今回の3学会合同大会(英語名Anatomy-Physiology-Pharmacology Week in 2025、略称APPW2025)が掲げる大会テーマは、「協奏の未来へ~生命を探る・解く・護る~」です。3学会を核とした学際的な協奏により、細胞や臓器の協奏による個体の恒常性維持のしくみ、さらに個体と環境の協奏による生命の多様性と持続可能性を探求し、健康な未来社会の実現を目指そうとする思いを込めています。サブタイトル「~生命を探る・解く・護る~」は、それぞれの学問領域の特徴を、生命を構造の面から探り(解剖学)、機能の面から解き(生理学)、生命を護る方法を拓く(薬理学)と表現しました。プログラム集の表紙やポスターの図案には、人体の構造と機能の学理を中心に据え、全ての生物の保護・健康と地球・宇宙環境の健全を一体として捉えるワンヘルスの実現への思いを込めました。また、人体やワンヘルスの背景にあるらせん状の文様は、パドヴァ大学解剖学教室(テアトロ・アナトミコ)と、そこから世界中に羽ばたいた医学研究者をイメージしています。
2019年末に勃発したコロナ禍により、学術集会の開催方法は、誌上開催、オンライン開催、ハイブリッド開催など、目まぐるしく変化してきました。昨今の社会状況を鑑み、他の感染症も含めた今後の動向も注視しつつ、APPW2025は幕張メッセにおいて対面開催を基本として開催準備を進めています。
現地会場へ多くの皆様にお越しいただき、合同大会ならではのスケールメリットと融合による化学反応を、お楽しみいただきたいと願っています。