第45回日本炎症・再生医学会

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ご挨拶

第45回日本炎症・再生医学会
会長 小川 佳宏
九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学(第三内科)

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この度、第45回日本炎症・再生医学会を2024年7月17日(水)・18日(木)に福岡国際会議場にて開催させていただきます。「炎症・再生」は特定の疾患・臓器に特化しない横断的な研究領域であり、臨床・基礎を問わず多様性に富んだ会員の皆様にとって実りある学術集会にしたいと考えています。会員の皆様の御支援を宜しくお願い申し上げます。
 今回のテーマは、「炎症と再生:健康・未病・疾患の謎解き」としました。我々の身体では、時々刻々と変化する内外の環境要因(ストレス)により軽微な生理的炎症が誘導され、細胞の破壊と再生の絶妙なバランスにより臓器局所あるいは個体全体の恒常性が維持されています(健康)。しかしながら、ストレスの質・量の変容による炎症の持続化、様々な内外の要因による細胞・組織の再生力の低下により、炎症と再生の生理的サイクルを逸脱すると、炎症の慢性化から不可逆な組織リモデリング・線維化を生じて臓器機能不全、ひいては腫瘍化に至る場合もあります(疾患)。
 従来の医学研究では、「健康」と区別して「疾患」を恣意的に定義し、「疾患」の病態生理に立脚した新しい診断法・治療法の開発が主流であり、医学の進歩により多くの「疾患」が克服されてきました。一方、顕在化した「疾患」の前段階である「未病」は定量的な解析が困難であり、つかみどころがなく概念的な理解にとどまっています。「健康」から「疾患」の発症過程は連続的であり、表裏一体の関係にある炎症と再生のバランスが不安定化し、「健康」から可逆的な「未病」の状態を経て不可逆な「疾患」を発症するという考え方です。近年、最先端のイメージング技術やシングルセル解析に代表されるオミクス解析、数理モデル化、人工知能などの画期的なイノベーションにより、「未病」の実態が徐々に明らかになってきました。時代とともに「未病」の概念・定義は変化すると思われますが、「未病」の段階に適切に介入して「健康」に巻き戻すこと、そして「疾患」の発症を遅延させることが新しい医療のトレンドになるのかも知れません。
 本学会の福岡開催は2012年度(平成24年度)の田中良哉会長(産業医科大学)以来の12年振りになります。福岡市では、アジアの拠点都市としての機能・役割を高めるため、「天神ビッグバン」、「博多コネクティッド」のプロジェクトを推進し、ポストコロナ時代に相応しい魅力的で質の高い街づくりが進んでいます。福岡の美味に舌鼓を打ちながら、「健康・未病・疾患の謎解き」を大いに語り合っていただきたく思います。
 会員の皆様を福岡の地にお迎えできることを楽しみにしています。多くの会員の皆様の御参加と演題登録をお待ちしています。