Program
プログラム
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令和3年6月に閣議決定された国家戦略「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を踏まえ、国産ワクチン等の実現に向けて、令和4年10月より、フラッグシップ拠点である東京大学国際高等研究所新世代感染症センターと4つのシナジー拠点(北海道大学ワクチン研究開発拠点、千葉大学未来粘膜ワクチン研究開発シナジー拠点、大阪大学ワクチン開発拠点先端モダリティ・DDS研究センター並びに長崎大学感染症研究出島特区ワクチン研究開発拠点)からなるワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点群が活動を開始しました。本セッションでは、拠点群の全体像について解説するとともに、各拠点で取り組んでいるワクチン研究開発に関することに関して講演することにより、細菌学会員の皆様に拠点群参画機関の個々の活動の内容や目標を理解して頂き、ワクチンの開発においての会員の皆様のコミットメントの可能性を探りたいと考えている。
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共催:日本バイオフィルム学会
多くの微生物はバイオフィルムを形成することで集団として様々な機能を発揮し、他の微生物や宿主の動植物に作用する。感染症に関わる微生物や腸内細菌もバイオフィルム形態で存在する。また、土壌や水圏などの様々な環境においても多くの微生物はバイオフィルム形態で存在する。つまり、健康・食・環境にかかわる微生物もバイオフィルム形態で存在していることから、微生物の制御において、バイオフィルムの形成機構の解明に基づく制御が重要である。近年、バイオフィルムの形成機構の解明およびバイオフィルムの制御に関する研究が進展している。また、バイオフィルムのイメージング技術の発展も目覚ましい。本シンポジウムでは、日本細菌学会と日本バイオフィルム学会の共催により、微生物のバイオフィルムに関して、医学、歯学、工学、生命環境学など種々の分野における最新の研究内容を紹介していただく。
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演者:玉澤 聡(製品評価技術基盤機構)、河村 好章(愛知学院大学)、田中 香お里(岐阜大学)、布浦 拓郎(海洋研究開発機構)、坂本 光央(理化学研究所)
当日は、これらの分類の変遷を踏まえつつ、現在の分類の方法、ゲノム時代の細菌同定の在り方と問題点、さらにSeqCodeの概要と現在の命名規約との対比、系統保存機関の役割などについてご紹介し、また議論する場を提供したい。
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演者:新崎 恒平(東京薬科大学)、久堀 智子(岐阜大学)、中川 一路(京都大学)、金 玟秀(京都大学)、Jonathan Pruneda(オレゴン健康科学大学(米国))、Jorn Coers(Duke大学(米国))
真核細胞に普遍的に存在するユビキチン修飾系は細胞機能の維持や調節の中枢システムである。病原体感染におけるユビキチン系の役割は炎症シグナル経路やファゴサイトーシス、オートファジーによる病原体排除を含めた多岐にわたる免疫系駆動であり、近年ではタンパク質のみならず脂質や糖鎖を標的とするユビキチン修飾も明らかになっている。一方、ある種の病原菌は細菌エフェクターを用いてユビキチン系を操作することで宿主免疫を逃れることが知られている。さらに、これらエフェクターの機能解析はユビキチン修飾に対する数多くの新規ケミストリーの発見をもたらし、学問分野の垣根を超えた新たな研究潮流を生み出している。本シンポジウムでは、ユビキチンを介した病原体排除機構から病原細菌によるユビキチン系操作機構に至る幅広い視点からの最先端の研究を取り上げ、「ユビキチン」を介して細胞内で繰り広げられる宿主細胞と病原体との攻防を紐解く。
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共催:島津製作所
SARS-CoV-2が問題となった初期のころから下水モニタリングの有用性が指摘されている。特に下水モニタリングは蔓延する可能性のある感染症の病原体をいち早く捉えることができるので、次のパンデミックに備える上でも重要である。一方、大気や海洋の微生物に関する知見は、いまだ十分とは言えない。本シンポジウムでは、我が国における大気、河川、海洋、下水などのモニタリングの取り組みとAMRモニタリングの現状と今後の展望について議論する。
演者:石井 雅樹(武蔵野大学)、松本 靖彦 (明治薬科大学)、山田 剛(帝京大学)、林 直樹(マルホ株式会社)、公募演者1~2名
皮膚は感染巣や病変が目で見てわかることやかゆみ・痛みに対して手を使ってアプローチできることから我々にとって非常に身近な器官である。病原体との戦いのフロントラインであるが、皮膚に感染する病原体や皮膚の炎症や創傷感染での詳細なメカニズムは意外と知らないことが多い。外界との最初のバリアーとなる皮膚には、固有の微生物叢が存在、定着して生体防御の役割を果たしている一方、このバランスの崩れや皮膚の損傷、それらに伴う宿主との攻防による炎症が様々な病態につながると考えられている。本セッションでは、皮膚に感染して傷害をおこす細菌や真菌の戦略に関する知見を発表頂き、その理解を深めたいと考えている。
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演者:Gabriel Nunez(University of Michigan)、Matthew K. Waldor(Harvard Medical School)、Renee M. Tsolis(University of California, Davis)、Ken Cadwell(University of Pennsylvania)
海外の長期留学者数は、2000年初頭をピークに半減したとのデータがある。これは新型コロナウイルス感染症の影響も大きいが、それ以前から研究留学を進路に選択する若手研究者が少なくなったことが実感できる。研究留学とは、言葉や文化が違う中で新たな生活を築き、海外で自身の研究を発展させるためのシンプルな挑戦になるが、世界中の研究仲間との輪を広げ、後の研究生活を円滑に進めるためのチャンスでもある。本シンポジウムにおいて、これまで日本人を受け入れ、インパクトのある研究を行なわれた4人の一流PIを海外からお招きし、それぞれ最新の研究結果や日本人研究者との思い出などを講演いただくことで、海外留学に興味を持つ若手研究者を鼓舞し、挑戦の後押しに繋がることを期待している。
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演者:平林 亜希(国立感染症研究所)、黒木 香澄(国立感染症研究所)、浜本 浩(山形大学医学部)、名木 稔(国立感染症研究所)、知花 博治(千葉大学真菌センター)
ワンヘルスの視点から薬剤耐性菌の疫学を多角的に探り、細菌ゲノム解析を通じて人、家畜、食品、環境における薬剤耐性因子の相関を示す。また、2016年のAMR対策アクションプランに続き、2023年の新たなアクションプランを踏まえ、日本および世界の薬剤耐性菌の動向を報告する。これらの現状を踏まえた上で、感染症薬の開発における革新的なアプローチを模索し、次世代の治療戦略に役立つ情報を共有する。
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共催:学術変革B「微生物が動く意味」、後援:AMED
近年、微小流体デバイスを活用して、組織・臓器を形成する「Organ-on-a-chip」技術が大きな注目を集めており、感染現象の解明にも応用されつつある。このような生体組織を模倣するというアプローチは、感染症における病原体と宿主の相互作用を理解する上で重要な技術的ツールとなる。このセッションでは、微生物学とマイクロ・ナノエンジニアリングの交差点で生まれる革新的な研究や技術の展望を紹介する。最新の研究成果を共有するとともに、理工学との融合的な研究の有用性と感染症研究への限界と可能性について議論したい。
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共催:学術変革領域研究・自己指向性免疫学
免疫系は、病原細菌などの病原体を認識し排除することに特化したシステムであり、従来は専ら「外」からの侵入を監視するものと考えられてきた。しかし近年、自然免疫(先天性免疫)および獲得免疫(適応免疫)を担う多くの免疫センサーが「内」なる自己由来分子を認識することが明らかとなった。これにより、自己分子(タンパク質、核酸、脂質、糖鎖、代謝産物等)の量的・質的変動を感知することで恒常性を維持する役割を有することが判明した。また、自己分子は従来の宿主由来の分子に加え、共生細菌も自己の一部として認識されることがわかってきた。本シンポジウムでは、学術変革領域研究の概念である自己指向性免疫学を通して、自己・非自己になりうる細菌と宿主の関係にフォーカスして議論したい。
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後援:米国微生物学会
本シンポジウムは、日本で働く留学生やポスドクに英語で先駆的な細菌学研究を紹介する場を提供します。多様な研究者グループを結集することで、アイデアの交換・共有を促し、細菌学の進歩と発展に貢献することを目的とします。発表者はポスター発表と同時にこのワークショップに応募することができます。応募者多数の場合は留学生を優先させていただきます。上位数名の発表者には、ASM Young Ambassodor of ScienceおよびASM Country Ambassodor of Scienceからベストプレゼンテーション賞が授与されます。
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後援:日本熱帯医学会
感染症の蔓延には,国や地域によって異なる文化,経済状況,インフラ,環境問題,教育水準などが複合的に関わり,被害規模は国・地域間格差の社会的指標と捉えることもできる。とりわけ熱帯の貧困地域では,WHOがリストする「顧みられない熱帯病」をはじめ,先進国では既に制圧,あるいは発生しても比較的小規模で抑止できる様々な感染症が未だ甚大な被害をもたらしている。本シンポジウムでは,一般社団法人・日本熱帯医学会の後援のもと,コレラ,腸炎ビブリオ感染症,レプトスピラ症など熱帯地方で多く発生する細菌感染症を取り上げ,研究の最前線で活躍する5名の研究者にご講演いただく。各演者が取り組んでいる病原性や生体防御の基礎研究や疫学的サーベイランスは,感染症に対する危機管理技術の開発基盤として重要である。熱帯地方における細菌感染症の現状と課題を露わにし,グローバルヘルスへの取り組みを一層強化する足掛かりとしたい。
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演者:山口 貴弘(大阪健康安全基盤研究所)、瀬戸 順次(山形県衛生研究所)、中村 寛海(大阪健康安全基盤研究所)、窪村 亜希子(国立健康危機管理研究機構)、小野 久弥(北里大学)
食中毒や感染症の発生時には、患者のみならず食品や環境材料から分離された細菌を様々な方法で分類・型別することにより感染源や感染経路の推定が可能となり、事例の検証を行うことができる。本ワークショップでは、分離株の遺伝子型別によりビルの冷却塔が原因と判明したレジオネラ症事例、2023年に発生した馬刺しによるEHEC食中毒事例、2011~2020年に分離された食中毒起因カンピロバクター菌株の特徴、牛乳が原因と考えられた非定型病原大腸菌OgGp9:H18による大規模食中毒事例や新たに見つかった新型ブドウ球菌エンテロトキシンついて紹介する。実際の事例紹介により、聴講者とともに食中毒や感染症の疫学についての理解を深めるとともに、問題点を見出し、課題解決につながる共同研究に発展すれば幸いである。
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演者:鷲尾 純平(東北大学)、影山 伸哉(九州大学)、松尾 美樹(広島大学)、坂中 哲人(大阪大学)、河本 新平(大阪大学)
消化管の入り口に位置する口腔には膨大な種類および数の細菌が生息し、複雑ながら安定な常在微生物叢を構築している。近年、この口腔常在微生物叢を構成する細菌がう蝕や歯周病といった歯科疾患のみならず全身の健康状態にも関わっていることが明らかになってきた。今後、口腔常在微生物叢の構造および動態の把握、そして制御は、我々が健康増進を図っていくうえでより重要な意味を持ってくることが予想される。本シンポジウムでは口腔常在細菌に着目した研究に携わってきた各演者から最新の研究成果についてご紹介頂きながら、口腔常在微生物叢というシステムの理解に向けて議論する。本ワークショップが微生物学的知見に基づくこれまでなかった保健アプローチの確立に繋がればと考えている。
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演者:池田 秀斗(早稲田大学)、中山 メイ(明治薬科大学)、金子 知義(早稲田大学)、遠山 茉奈(酪農学園大学)、三村 萌音(大阪公立大学)、木村 宇輝(鳥取大学)、島 玄太(京都大学)
細菌学若手コロッセウムは,今後の細菌学の礎を築く若手研究者が切磋琢磨する場を提供することを目的とした学術集会です。若手コロッセウムでは,”微生物”をキーワードとして集まった専門分野の異なる若手研究者が,率直な疑問・意見をぶつけあいます。そこでは,参加者の研究者としての成長だけでなく,新しいネットワークの構築や日本の細菌学の裾野拡大も期待されます。「第18回細菌学若手コロッセウム」は日本細菌学会の助成を受け、2024年9月27-29日に大阪公立大学で開催され,薬剤耐性,感染戦略,運動,生理,遺伝子操作などの分野での最先端のトピックスについての発表や議論が行われました。本ワークショップでは,日本細菌学会会員の皆様へのフィードバックとして,第18回大会の内容の報告および第18回大会で特に優れた発表を行った若手研究者による研究発表を予定しています。
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演者:大楠 清文(東京医科大学)、齋藤 良一(東京科学大学)、柳原 正志(大阪大学)、中西 典子(神戸市健康科学研究所)、大久保 寅彦(北海道大学)、涌井 杏奈(新潟医療福祉大学)
細菌感染症の診断や治療には、原因菌や薬剤耐性の有無を同定する必要があり、その業務を担うのが臨床検査技師である。臨床検査技師やその養成機関の教員は、日常業務の傍らで感染症の原因菌や薬剤耐性を正確かつ迅速に判定できる新たな検査法の開発から、さまざまな病原菌の動向を把握する疫学研究、環境微生物学や細菌の性状研究まで、多岐にわたる研究に取り組んでいる。本セッションでは、これまで日本細菌学会ではあまり取り上げられることのなかった臨床検査技師や臨床検査科学機関の教員など臨床検査学分野の研究者が行っているさまざまな細菌学研究に焦点を当てて紹介し、学会における学問分野や職種の多様性の拡大に貢献できればと考えている。
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演者:原 英樹(旭川医科大学)、松田 重輝(大阪大学)、芦田 浩(東京科学大学)、北尾 公英(北海道大学)、山口 雅也(医薬基盤・健康・栄養研究所)
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演者:藪内 弘昭(和歌山県田辺保健所)、植松 智(大阪公立大学)、岡 真優子(京都府立大学)、三宅 眞実(大阪公立大学)、北 潔(長崎大学)
天然物に由来する抗菌物質の研究の歴史は古く、その一部は抗生物質の発見と開発に繋がった。しかしやがて薬剤耐性の問題に直面し、従来型の研究開発手法には見直しが迫られている。近年、画像解析技術、ゲノム科学、情報科学、構造生物学などの飛躍的な発展を背景として、新しい視点からの抗微生物活性スクリーニングが可能となった。また生物の中間代謝産物を微生物制御へ利用した成功例も報告されている。さらに、既知あるいは未知の抗微生物活性を用いて、生命現象をより深く理解しようとするアプローチも試みられている。本シンポジウムではこのような取り組みの象徴的な例を紹介することで、天然物質の持つ潜在性をあらためて認識するとともに、この分野に関する未来戦略の1つの方向性を示したい。