Program
プログラム
日本語
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概要:
抗菌薬耐性菌による感染症、すなわちAMR (antimicrobial resistance) 問題は政府の対策アクションプランも2023年に第二段階に入った。新しい抗菌薬の上市もちらほら聞こえてくるようになった。ただし全く新しい発想に基づく新薬が私たちの手に入るのにはまだまだ多くのハードルがあると言わざるを得ないと感じている。総会長である私の元々のバックグラウンドが化学であり、その視点から細菌感染症に挑んでいくことはできないものか、基礎の研究者ができることは何なのか、それらの答えに関する示唆を得たいと考えた。新しい化合物合成ストラテジー、直接的な抗菌作用でなく宿主因子の働きを利用した治療薬、糖鎖を活性成分とした免疫賦活剤の探索というそれぞれ独自のアプローチを3人の先生にご紹介いただく。
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演者:豊留 孝仁(帯広畜産大学)、北尾 公英(北海道大学)、原 英樹(旭川医科大学)、李 智媛(北海道大学)、宮下 慎一郎(東京農業大学)、邱 辰軒(北海道医療大学)、前田 愛子(北海道大学)、川口谷 充代(札幌医科大学)、大久保 寅彦(北海道大学)
概要:
第97回総会は北海道で行うことになり、開催時期がかなり後ろ倒しの8月上旬となりました。例年この時期に細菌学会北海道支部学術総会が開催されるので、北海道支部会を総会に盛り込ませていただくことを検討しました。コロナ禍もあって思うように支部会が開催できず、お互いの研究室のアクティビティを最近把握できていないと感じていました。北海道の細菌学が元気だということを全国の皆様にもお知らせしたいと思います。学会のグローバル化はもちろん重要ですが、お互いの顔が見えるローカルな集団での切磋琢磨でアクティビティを上げていくことも学会や学問の発展には重要ではないでしょうか。このシンポジウムがそのような問いかけになれば幸いです。
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シンポジウム1 9:00-12:00
演者:後藤 義幸(千葉大学)、Jin Kyung Kim(Keimyung University School of Medicine)、平川 秀忠(群馬大学)、Eui Tae Kim(Jeju National University)、浜本 洋(山形大学)、Seong-Tshool Hong(Jeonbuk National University)、李 謙一(国立感染症研究所)
ポスター発表 13:00-14:30
シンポジウム2 14:30-17:30
演者:Minho Lee(Hallym University)、氣駕 恒太朗(国立感染症研究所)、Seungwha Paik(Chungnam National University)、児玉 年央(長崎大学)、Chul-Su Yang(Hanyang University)、明田 幸宏(国立感染症研究所)、Moo-Seung Lee(Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology/University of Science and Technology)
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概要:
細菌学若手コロッセウムは,今後の細菌学の礎を築く若手研究者が切磋琢磨する場を提供することを目的とした学術集会です。若手コロッセウムでは,学会の枠をこえて”微生物”をキーワードとして集まった専門分野の異なる若手研究者が,率直な疑問・意見をぶつけあいます。参加者の研究者としての成長だけでなく,新しいネットワークの構築や日本の細菌学の裾野拡大が期待されます。「第17 回細菌学若手コロッセウム 」は日本細菌学会の助成を受け、2023年8月17-19日に久留米シティープラザで開催され,感染,生態,ゲノム,一細胞観察などの分野での最先端のトピックスについて熱い議論が交わされました。このワークショップでは,日本細菌学会 会員の皆様へのフィードバックとして,始めに第17 回大会の内容を報告させていただき,続いて世話人ならびに第17回大会で特に優れた発表を行った若手研究者にご自身の研究を紹介していただきます。
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演者:岸田 康平(東北大学)、橋本 佑輔(群馬大学)、矢野 大和(国立感染症研究所)、西増 弘志(東京大学)、氣駕 恒太朗(国立感染症研究所)
概要:
生物において遺伝子水平伝播(HGT: horizontal gene transfer)は進化の駆動力である。細菌はHGTによって薬剤耐性遺伝子などの生存・増殖に関わる遺伝子を獲得し、新たな宿主や環境に適応してきた。DNAはプラスミドが媒介する接合伝達などによって細菌間を伝播する。プラスミドは染色体外で環状もしくは線状の形態をとっており、主にIV型分泌装置により接合伝達される。一方で、HGTは制限酵素やCRISPR-Casシステムなどの外来DNAに対する防御システムに影響を受ける。これらのDNA編集酵素は発見後、遺伝子工学手法として開発され、生命科学研究に貢献をもたらしてきた。近年、原核生物から哺乳類生物まで広く保存された防御システムも明らかとなってきている。本シンポジウムでは、細菌のDNAを移すシステムとそれを防ぐシステムの双方に関して最新の知見を紹介し、HGT現象に関して新たな理解を得たい。
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演者:ムルザバエフ マルセル(アニコム パフェ株式会社)、大森 啓太郎(東京農工大学)、川﨑 淨教(香川大学)、井上 亮(摂南大学)、八木沢 拓也(NOSAI北海道)
概要:
持続可能な社会の実現には「ワンヘルス」の概念が必要不可欠である。特に、「動物細菌叢」は動物の健康のみならず、ヒトの生活や環境保全に大きく関わっている。そのため、動物細菌叢を理解することで、ワンヘルスの柱の1つである「環境とヒトと動物のより良き関係づくり」が達成できると期待される。動物の細菌叢は、野生動物の食性・行動パターンの類似性、コンパニオンアニマルや家畜における飼育環境の均一性から、比較的高品質なデータが得られやすい特徴を有する。この特徴から、動物細菌叢のコンパニオンアニマル、畜産、環境での応用が期待されている。その例として、コンパニオンアニマルの腸内フローラ検査や家畜の腸内フローラのデータベース化がある。本セッションでは、先進的に動物細菌叢の研究を進めている研究者に登壇頂き、最新の研究成果を共有し、今後、どのように動物細菌叢が研究・利用されるか議論したい。
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概要:
宿主は病原体特有の分子をパターン認識レセプターで感知することで病原体を非自己(ノン・セルフ)として識別している。さらに、近年では、病原体特有の成分(タンパク質・核酸・糖・脂質)だけでなく、病原体の宿主内ライフサイクルに関連した分子やイベントもノン・セルフとして認識され、生体防御の誘導に関わるという新たな概念が提唱されている。それに対して、病原体もまた、病原因子を駆使し、これまで知られていなかった多彩な宿主因子や生体防御システムなどを標的とし、細胞への侵入や細胞死、炎症応答などの宿主高次機能を巧みに操作・制御することが明らかとなってきている。本ワークショップでは、細菌と宿主間におけるノン・セルフ認識を介した相互作用について、様々な細菌種における細菌-宿主相互作用を解析している研究者とともに、最先端のトピックスを議論したい。
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概要: ゲノム解析が手軽に行えるようになったことで、微生物学の様々な分野においてゲノム研究やゲノム配列情報を利用した基礎・応用研究が盛んに進められている。研究会「微生物ゲノム研究のフロンティア」を前身として2007年に発足した「日本ゲノム微生物学会」では、病原微生物から環境微生物に至る様々な微生物を研究材料とする300から500名の研究者が集まり、ゲノム研究に関する最新技術や新知見を発表し、活発な討論と研究交流が行われている。本シンポジウムでは、日本ゲノム微生物学会を代表する5名の研究者に最先端のゲノム研究について発表頂き、今後のゲノム微生物学研究の方向性について議論したい。
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演者:松田 泰幸(旭川医科大学)、中塚 賀也(京都大学)、柴田 岳彦(東京医科大学)、坂本 啓(山口大学)、松岡 悠美(大阪大学)
概要:
病原細菌がヒトなどに感染すると発症し、重症化した場合には死に至ることもある。感染症対策としては、まず感染を防ぐことが第一であるが、感染後にも重症化を防ぐことが重要になってくる。古典的な概念では、低病原性細菌に感染した場合には治癒し、高病原性細菌に感染した場合は重症化すると考えられてきた。しかしながら、昨今の新型コロナウイルス患者の知見から、同じ病原体に感染しても重症化する患者としない患者に分かれることが明らかとなってきた。つまり、感染病態が重症化するには細菌側の因子だけでなく、宿主側の因子や環境因子など様々な要因が関わってくる。本セッションでは、細菌因子や病原因子に加えて、最新の研究から明らかに
なってきた感染症の重症化に関わる様々なファクターを中心に紹介し、より実態に近い感染重症化機構について議論する。
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コンビーナ:曵地 康史(高知大学)、森田 鉄兵(慶應義塾大学)
演者:佐藤 昌直(北海道大学)、峯 彰(京都大学)、都筑 正行(高知大学)、中野 亮平(北海道大学)、森田 鉄兵(慶應義塾大学)、野澤 孝志(京都大学)
概要:
Barbara McClintock博士の「動く遺伝子」説からのトランスポゾンの発見によって、我々は逆遺伝学という新たな研究戦略を得た。そして、Jennifer Anne Doudna博士とEmmanuelle Marie Charpentier博士が開発したゲノム編集技術により、機能未知の遺伝子の表現型への役割を明らかにすることが可能となった。さらに、オミクスの多量解析技術の発達により、生命現象の神秘を解明する技と道具を得た。しかし、生命現象は、環境要因により大きな影響を受けるとともに、一形質に複数のサブシステムが関与しているため、in vitroでの特定の形質以外、その機構の本丸を明らかにした事例は数少ない。本シンポジウムでは、細菌-宿主相互作用に関わる事象について、オミクスのデータ多量解析に基づくシステムバイオロジーが細菌学の発展にいかに貢献するかについて、我が国が世界に誇る6名の若手研究者に話題を提供していただき、議論をすすめる。
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演者:原 博満(鹿児島大学)、津々木 博康(熊本大学)、金城 雄樹(東京慈恵会医科大学)、一戸 猛志(東京大学医科学研究所)、竹田 誠(東京大学)
概要:
新型コロナウイルス感染症の流行により、生体防御研究の重要性が再認識されている。感染症の新たな診断法・治療法・予防法の開発において、病原体の感染機構、引き起こされる感染症の病態や感染防御機構の解明、新たな手法を用いた創薬など、様々な視点から新規の方法を模索する必要がある。本シンポジウムでは、生体防御からみた感染症研究をテーマとして、細菌・真菌だけでなく、ウイルス等各分野で進められている新たな観点から、病原体による感染機構、病原因子の作用機序や感染に対する生体防御メカニズム、ワクチンによる免疫応答などに関して、様々な分野の研究者が最新の知見を紹介する。
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演者:飯田 哲也(大阪大学)、松田 重輝(大阪大学)、石井 健(東京大学)、濱野 真二郎(長崎大学)、西山 晃史(新潟大学)、長尾 美紀(京都大学)
概要:
日米医学協力計画は、日米の協力によりアジアの疾病に対して立ち向かうべく、佐藤栄作首相とジョンソン大統領の共同声明に基づき1965年に発足した。当初の疾病対象は、「コレラ」「結核」「ハンセン病」「ウイルス性疾患」「寄生虫感染症」で、疾患毎に部会が組織され活動してきた。時代要請に応えて変遷し現在は「エイズ」「肝炎」「急性呼吸器感染症」「細菌性腸管感染症」「免疫」「がん」「栄養・代謝」が加わった10部会が活動している。これまで両国を代表する研究者が多数参画し、成果が産み出されてきた。本シンポジウムでは、60周年を迎える日米医学協力計画について紹介すると共に、細菌学と関りの深い「コレラ」「抗酸菌症」「免疫」「寄生虫」「急性呼吸器感染症」の5部会から研究者をお招きして旬の成果をお話しいただき、感染症対策のブレークスルーを担う研究について考え、議論し、学会員の研究活動を触発する場としたい。
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概要:
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行や薬剤耐性菌の蔓延等、感染症に対する認識が大きく変貌し、その対策が進められている。一方で病原体をモデル生物として活用した研究は、微生物の多様性やヒトにおける病態等、実臨床の場で経験する感染症の本質を捉えることが難しい状況にある。そのため基礎と臨床をつなぐ感染症研究(Bench to Bedside/Bedside to Bench)の重要性が再認識されるようになっている。本シンポジウムを通して、その臨床における対象感染症・疾患の重要性、また実験室でのアプローチ、どのように臨床現場と研究室をつなぐか等、幅広い内容についてご紹介頂き、今後の細菌学研究の一助となることを期待する。
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概要:
細菌が産生する菌体外膜小胞や真核細胞が産生するエクソソームなどの細胞膜小胞(Extracellular Vesicles, EVs)は、脂質二重層で覆われた構造を有し、細胞内成分を含むナノ粒子として放出される。いずれの EVsも細胞集団内における物質輸送や遺伝子情報の水平伝達によって細胞間コミュニケーションを担うことが明らかとなっている。さらに、EVsの安定性と宿主免疫応答を活性化する性質を利用することで、EVsは新たなモダリティとして、薬物送達システムやワクチンの開発などの医療応用にも期待されている。しかし一方で、EVsが細胞機能の変調を引き起こすことで、さまざまな感染性疾患や非感染性疾患の発症や増悪化に寄与することも明らかになってきている。本セッションでは、細菌学に関連する多方面にわたる様々な研究者にEV研究の最前線を紹介していただき、EVsについての理解を深め、知見の統合を目指す。
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概要:
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、人々の行動が再び活発となり様々な食中毒や感染症が流行し始めている。また、COVID-19流行をきっかけとして食中毒や感染症の疫学解析にゲノム解析手法が積極的に用いられるようになった。本ワークショップでは近年発生した腸管病原性大腸菌O45による食中毒事例、湧水を使用した飲食物が原因となったカンピロバクター食中毒事例、宿泊施設の大浴場におけるレジオネラ症発生事例、同一クローン由来株に起因するSalmonella Oranienburgによる菌血症事例とリアルタイムPCRによって検出できたエッシェリキア・アルバーティーの小児下痢症後の長期排菌事例を紹介する。これらの中には菌株のゲノム解析によって感染源の推定あるいは特定に繋がった事例もあった。このような実際の事例紹介により、聴講者とともに食中毒や感染症の疫学についての理解を深めるとともに、問題点を見出し、課題解決につながる共同研究に発展すれば幸いである。
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演者:西野 美都子(大阪大学)、森田 鉄兵(慶応義塾大学)、垣内 力(岡山大学)、塩田 拓也(宮崎大学)、内藤 真理子 (長崎大学)、藤永 由佳子(金沢大学)
概要:
細菌膜は物質の選択的透過、エネルギー生産、細胞外情報の感知と応答、分泌や細胞壁の形成等において様々な重要な役割を果たしています。細菌膜上にはそれらの化学反応を仲介する膜タンパクが存在し、各々に関与することで生命活動を可能にしています。ゲノム編集、シークエンス、クライオ電顕、AI等の技術の発展に伴い、マクロな現象や生命の全体像が明らかにされる中で、それら膜タンパク質自身がどう生命全体に影響を及ぼし合うのかを知るためには、タンパク質そのものへの理解が益々重要になってきています。膜タンパク質の分子レベルからの研究は取り扱いの難しさから可溶性タンパク質と比較して遅れをとってきました。本シンポジウムでは膜を介して様々な反応を行う代表的なタンパク質を取り上げ、専門家の先生方にこれらの発現や機能の変化は薬剤耐性、病原因子の獲得、細胞接着、毒素の透過等にどのように変化を及ぼすかを再度考えたいと思います。
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概要:
薬剤耐性菌の出現と蔓延は大きな社会問題の一つである。このような状況で、抗生物質の詳細な作用機構の理解と、抗生物質や多様な環境から如何にしてバクテリアは生き残るのか、その生存戦略の理解が急務である。また、環境中の細菌が進化の過程で獲得した抗生物質耐性機構を俯瞰し、その発現制御機構・作用機序の多様性に関する研究を進めることは、約30億年前から微生物が脈々と繰り広げてきた競争・相互作用の結果を紐解くアプローチであり、臨床のみならず、基礎的な細菌学研究においても重要なトピックである。 本ワークショップでは若手研究者が中心となり、遺伝学的・分子生物学的手法に加え、メタゲノム解析・Cryo-EM・シングルセル解析・微生物電気化学など革新的な技術を取り入れ、多角的なアプローチによって多様な抗生物質耐性機構の探索・解明に取り組んでいる現状を報告し、これら研究の将来展望を議論することを目的とする。
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演者:大久保 寅彦(北海道大学)、石川 一也(岡山大学)、北沢 優悟(東京大学)、清水 隆(山口大学)、浜本 洋(山形大学)、野村 良太(広島大学)
概要:
細菌と宿主生物の相互作用を理解するためには、感染実験が欠かせない。これまで感染実験には、マウス等のほ乳動物が主として用いられてきた。しかしながら、こうした動物実験では、動物福祉の観点から使用頭数の最小化が必須であり、多くの実験を試行錯誤することは困難である。また、細菌の自然環境における動態を理解するためには、自然界での自然宿主に近い感染モデルが必要である。しかしながら、そのようなモデル生物を準備することはこれまで困難であった。
近年、このような倫理的問題やリソースの問題を低減するために様々な感染モデルが提唱されつつある。また、文部科学省が実施しているナショナルバイオリソースプロジェクトはライフサイエンス研究の基盤となる様々な生物の収集を行っており,簡単にそれらの生物を利用できる。
このような背景から本ワークショップでは、繊毛虫、カイコ、植物など様々な感染モデルを使用し、感染症の研究をおこなっている研究者がその最前線を紹介する
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無症状感染者拡大とその早期発見・早期改善
-食品衛生法・大量調理施設衛生管理マニュアル検査の無症状感染者拡大とその早期発見・早期改善に向けて-
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AMR 対策アクションプラン ―抗菌薬の安定供給を中心に―